「建設業許可」と聞くと、「手続きが面倒」「大きな会社が取るもの」といったイメージがあるかもしれません。しかし、私は許可を単なる行政手続きとは考えていません。

許可は、親方様お一人お一人の「人生設計」「事業の将来戦略」を形にするための重要な『選択肢』だと考えています。

許可を取得することが、本当に皆様の最善の道なのか?取るなら、いつ、どのような形で進めるのが最もメリットが大きいのか?

この記事では、「あなたにとって本当に建設業許可が必要か」を一緒に考えるための材料を提供し、その後の戦略的なステップを解説します。


1. 建設業許可は「事業の選択肢」を広げる鍵

建設業許可の有無は、皆様の事業が将来的に「どのような仕事」を選び、「どのような規模」を目指すかを決定づけます。

許可の有無メリット制限事項
許可なし事務負担が最小限500万円未満の工事(建築一式は1,500万円未満)しか請け負えない
許可あり請負金額の制限がなくなる
社会的・取引上の信用力が向上
許可維持のための事務負担コストが発生する

重要なのは「500万円の壁」の向こう側

現在、500万円未満の工事だけで安定している場合、無理に許可を取る必要はないかもしれません。しかし、将来的に「もう少し単価の高い仕事に挑戦したい」「元請の期待に応えて大きなプロジェクトに関わりたい」という目標があるなら、許可は必須となります。

許可は、皆様の事業の「天井」を取り払い、仕事の選択肢と収入の上限を引き上げるための戦略的な手段です。

2. 人生設計と許可戦略:「いつ」取得するのが最善か?

許可は「思い立った時」に取るものではなく、事業の成長フェーズに合わせて戦略的に取ることで、その効果を最大化できます。

フェーズ許可取得を考えるべきタイミング理由・最善の形
初期(安定期)経営経験5年を満たした時点許可要件である「経営経験」がクリアできる節目です。この時点で許可を取得し、信用力を武器に次の5年間の受注を安定させます。
成長期(法人化検討時)法人を設立する前個人事業主の許可を先に取得しておけば、法人化後、「特定承継」という形で、比較的スムーズに法人へ許可を移行できます。
引退・承継期後継者が見つかった時点許可を保有したまま事業を承継することで、後継者の信用力を担保し、取引先との関係を円滑に引き継ぐことができます。

結論として: 許可要件である「経営経験5年」が証明できる時期が、最も効率的かつ戦略的な取得のタイミングと言えます。

3. 許可は「ゴールではない」:取得後に発生する責任と義務

私は、許可取得をゴールとしたお付き合いを望んでいません。許可は、事業を長く安定させるための「スタートライン」です。

① 継続的な事務手続きの発生

  • 毎年、決算終了後の報告義務(事業年度終了届):個人の確定申告書などを基に行政庁へ提出する義務があります。
  • 変更が生じた際の届出義務:住所、屋号、技術者の変更などがあれば、その都度、期限内に届け出が必要です。
  • 5年ごとの更新手続き:5年ごとに、改めてすべての許可要件を満たしていることを証明し、更新します。

これらの手続きを怠ると、せっかく取得した許可も失効などというもったいないことも起きかねません。

② 法令遵守と社会保険への対応

これらをすることが、元請からの信頼を維持し、長期的に安定した取引を継続するための土台となります。

最後に:皆様にとっての最善の道を一緒に探します

建設業許可は、皆様の事業の未来を大きく左右する重要なツールです。

「5年以上の経験は証明できるか?」「資金面は大丈夫か?」といった許可要件の確認から、「いつ法人化するのが一番税務的に有利か?」「後継者にスムーズに引き継ぐための準備は?」といった人生設計と絡めた戦略まで、共に考えさせていただければ幸いです。

許可取得が本当に皆様の最善の選択肢なのか、行政書士として客観的な視点から検討するお手伝いをいたします。どうぞ、お気軽にお問合せください。

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中村さつき
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